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  • シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-トーマス・マン「魔の山」5

    3.2 小説の場面に適用する

     サナトリウムは、午後安静療養の時間になる。バリトンで柔らかい引きずるような異国風の口蓋音rに翌朝があるDr.Krokowskiの話しぶりは、Hans CastorpとJoachim Ziemßenのイロニー的な距離に影響を与える。
    「我々の関係は新しい段階に入ったのです。つまり、あなたは、客人から同胞(Kamerad)になったのです。私の目にはカタルを患っているように見えます」とDr.Krokowskiは説明する。Hans CastorpとJoachim Ziemßenの距離が同胞になったことにより、二人は、同じ病気(カタル)を患う療養所の住民という関係になる。つまり、二人のイロニー的な距離は近づいていく。(花村 2005)
     ここでは、データベースから抽出したカラムは、意味2 距離が1近いと2 それ以外、情報の認知3 1問題解決と2未解決である。

    花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-トーマス・マン『魔の山』」より

  • シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-トーマス・マン「魔の山」4

    3 統計処理-相関

    3.1 相関の作り方

     シナジーのメタファーのために作成しているデータベースは、データの種類で見ると、俗に言う測れないカテゴリーデータからなる。数量データといわれる身長、体重、気温、湿度などとは異なり、値が連続ではなく飛び飛びで離散的となる。カテゴリーデータは、対象の性質を表したり、現象や、区別を表したりする。性別、好き、嫌い、うまい、まずい、おもしろいなどあるものの性質や現象が示される。(前野2012)
     相関とは原因から結果が生じ、互いに関係しあっていることをいう。また、相関関係があるとは、ある測定値の変化に対して他の測定値も変化する場合に使われる。相関の強さは、ピアソンの相関係数で表す。合わせて共分散という統計用語が重要となる。

    (1) 共分散の公式
    共分散=[(xの各データ-xの平均値)x(yの各データ-yの平均値)]の和/データ数
       =[(xの偏差)x(yの偏差)]の和/データ数
       = xとyの偏差積の和/データ数

    正の相関があると0より大きく、負の相関があると0より小さくなる。

    (2) 相関係数(ピアソン)
    相関係数=XYの偏差平方和/√(Xの偏差平方和)x(Yの偏差平方和)

    「魔の山」の問題解決の場面を使用して、簡単な例を見てみよう。

    花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-トーマス・マン『魔の山』」より

  • シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-トーマス・マン「魔の山」3

    2.2 標準偏差による分析
     
     グループA、グループB、グループC、グループDそれぞれの標準偏差を計算する。その際、場面1、場面2、場面3の特性1と特性2のそれぞれの値は、質量ではなく指標であるため、特性の個数を数えて算術平均を出し、それぞれの値から算術平均を引き、その2乗の和集合の平均を求め、これを平方に開いていく。求められた各グループの標準偏差の数字は、何を表しているのだろうか。数字の意味が説明できれば、分析は、一応の成果が得られたことになる。 

    ◆グループA 五感(1視覚と2その他)
    場面1(特性1、5個と特性2、0個)の標準偏差は、0となる。
    場面2(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、0となる。
    場面3(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
    【数字からわかること】
    場面1、場面2、場面3を通して、視覚情報に偏りがあるため、「魔の山」は、五感の情報にバラツキがある作品といえる。

    ◆グループB ジェスチャー(1直示と2隠喩)
    場面1(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、0となる。
    場面2(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、0.49となる。
    場面3(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
    【数字からわかること】
    場面1、場面2、場面3を通して、比喩が多い作品といえる。

    ◆グループC 情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)
    場面1(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.4となる。
    場面2(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、0となる。
    場面3(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、0.49となる。
    【数字からわかること】
    場面1、場面2、場面3を通して、新情報の2が多いため、講演の場面は、ストーリーがテンポよく展開していることがわかる。

    ◆グループD 情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)
    場面1(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、0.49となる。
    場面2(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、0.49となる。
    場面3(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、0.49となる。
    【数字からわかること】
    「魔の山」は、場面1、場面2、場面3を通して問題未解決が多いため、時間をかけて調節する時間の小説であることがわかる。

    花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-トーマス・マン『魔の山』」より

  • シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-トーマス・マン「魔の山」2

    2 統計処理-バラツキ

    2.1 データの抽出

     作成したデータベースから特性が2つあるカラムを抽出し、標準偏差によるバラツキを調べてみる。例えば、A:五感(1視覚と2それ以外)、B:ジェスチャー(1直示と2隠喩)、C:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)、D:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)というように文系と理系のカラムをそれぞれ2つずつ抽出する。

    ◆場面1 
    Hans Castorps Gedanken verwirrten sich, während er auf Frau Chauchats schlaffen Rücken blickte, sie hörten aud, Gedanken zu sein, und wurden zur Träumerei, in welche Dr. Krokowski’s schleppender Bariton, sein weich anschlagendes r wie aus weiter Ferne hereintönte. A1B1C2D2

    Aber die Stille im Saal, die tiefe Aufmerksamkeit, die ringsumher alle im Bann hielt, wirkte auf ihn, sie weckte ihn förmlich aus seinem Dämmern. Er blickte um sich… Neben ihm saß der dünnhaarige Pianist, den Kopf im Nacken, und lauschte mit offenem Munde und gekreuzten Armen. A1B1C2D2

     Die Lehrerin, Fräulein Engelhart, weiter drübern, hatte gierige Augen und rotflaumige Flecke auf beiden Wangen, – eine Hitze, die sich auf den Gesichtern anderer Damen wieder fand, die Hans Castorp ins Auge faßte, auch auf dem der Frau Salomon dort, neben Herrn Albin, und der Bierbrauersgattin Frau Magnus, derselben, die Eiweiß verlor. A1B1C2D1

    Auf Frau Stöhrs Gesicht, etwas weiter zurück, malte sich eine so ungebildete Schwärmerei, daß es ein Jammer war, während die elfenbeinfarbene Levi mit halbgeschlossenen Augen und die flachen Hände im Schoß an der Stuhllene ruhend, vollständig einer Toten geglichen hätte, wenn nicht ihre Brust sich so stark und taktmäßig gehoben und gesenkt hätte, wodurch sie Hans Castorp vielmehr an eine weiblich Wachsfigur erinnerte, die er einst im Panoptikum gesehen und die ein mechanisches Triebwerk im Busen gehabt hatte. A1B1C1D1

    Mehrer Gäste hielten die hohle Hand an die Ohrmuschel oder deuteten dies wenigsten an, indem sie die Hand bis halbwegs zum Ohre erhoben hielten, als seien sie mitten in der Bewegung vor Aufmerksamkeit erstrrt.
    A1B1C2D2

    ◆場面2
    Dieser Widerstreit zwischen den Mädchen der Keuschheit und der Liebe – denn um einen solchen handle es sich -, wie gehe er aus? Er endige scheinbar mit dem Siege der Keuschheit. A2B2C2D1

    Furcht, Wohlanstand, züchtiger Abscheu, zitterndes Reinheitsbedürfnis, sie unterdrückten die Liebe, hielten sie in Dunkelheiten gefesselt, ließen ihre wirren Forderungen höchstens teilweise, aber bei weitem nicht nach ihrer ganzen Vielfalt und Kraft ins Bewußtsein und zur Betätigung zu. A2B2C2D1

    Allein dieser Sieg der Keuschheit sei nur ein Schein- und Pyrrhussieg, denn der Liebesbefehl lasse sich nicht knebeln, nicht vergewaltigen, die unterdrückte Lieben sei nicht tot, sie lebte, sie trachte im Dunklen und Tiefgeheimen auch ferner sich zu erfüllen, sie durchbreche den Keuschheitsbann und erscheine wieder, wenn auch in verwandelter, unbekenntlicher Gestalt… A2B2C2D2

    Und welches sei denn nun die Gestalt und Maske, worin die nicht zugelassene und unterdrückte Liebe wiedererscheine? So fragte Dr. Krokowski und blickte die Reihen entlang, als erwarte er die Antwort ernstlich von seinem Zuhörern. A2B1C2D2

    Ja, das mußte er nun auch noch selber sagen, nachdem er schon so manches gesagt hatte. Niemand außer ihm wußte es, aber er würde bestimmt auch dies noch wissen, das sah man ihm an. A2B1C2D2

    ◆場面3
    “Sie scheinen überrascht, mich zu sehen, Herr Castorp”, hatte er mit baritonaler Milde, schleppend, unbedingt etwa geziert und mit einem exotischen Gaumen-r gesprochen, das er jedoch nicht rollte, sondern durch ein nur einmaliges Anschlagen der Zunge gleich hinter den oberen Vorderzähnen erzeugte. A2B1C2D1

    “ich erfülle aber lediglich eine angenehme Pflicht, wenn ich bei Ihnen nun auch nach dem Rechten sehe. Ihr Verhältnis zu uns ist in eine neue Phase getreten, über Nacht ist aus dem Gaste ein Kamerad geworden…” (Das Wort “Kamerad” hatte Hans Castorp etwas geängstigt.) A2B2C2D1

    “Wer hätte es gedacht!” hatte Dr. Krokowski kameradschaftlich gescherzt… “Wer häte es gedacht an dem Abend, als ich Sie zuerst begrüßen durft und Sie meiner irrigen Auffassung – damals war sie irrig – mit der Erklärung begegneten, Sie seien vollkommen gesund.” A2B1C1D2

    Ich glaube, ich drückte damals etwas wie einen Zweifel aus, aber, ich versichere Sie, ich meinte es nicht so! Ich will mich nicht scharfsichtiger hinstellen, als ich bin, ich dachte damals an keine feuchte Stelle, ich meinte es anders, allgemeiner, philosophischer, ich verlautbarte meinen Zweifel daran, daß ‘Mensch’ und ‘vollkommene Gesundheit’ überhaupt Reimworte seien. A1B2C2D2

    Und auch heute noch, auch nach dem Verlauf Ihrer Untersuchung, kann ich, wie ich nun einmal bin, und im Unterschied von meinem verstehten Chef, diese feuchte Stelle da”- und er hatte mit der Fingerspitze leicht Hans Castorps Schulter berührt – ” nicht als im Vordergrunde des Interesses stehend erachten. Sie ist für mich eine sekundäre Erscheinung…Das Organische ist immer sekundär…” A2B1C2D1

    花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-トーマス・マン『魔の山』」より

  • シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-トーマス・マン「魔の山」1

    1 論文の方向性-Lのストーリー

     シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることを現状のレベルでまとめている。今後、統計処理など研究の技葉がさらに増えていくように日々精進していきたい。この小論ではトーマス・マン(1875-1955)の「魔の山」が題材になる。
     私のテキストの分析は、シナジーのメタファーを考察することである。最初に受容と共生からなるLのストーリーを作成し、次にそれが反映されているリレーショナルなデータベースについて分析していく。基本的に、「阿Q正伝」(1922)と同じ方法で、「魔の山」(1924)について見ていくことにする。すでにトーマス・マンの執筆脳はファジィとして、「トーマス・マンとファジィ」というシナジーのメタファーを作成している。
    花村(2005)の中で、トーマス・マンの イロニーとザデーのファジィ理論を次のように定義した。
     トーマス・マンは、散文の条件として常に現実から距離を置く。一つには、現実をできるだけ正確に考察するために、 また一つには、それを批判するために、つまり、イロニー的に。 …この批判的な距離は、イロニー的な距離になりうるであろう。実際、批判的な表現における簡潔さには、余すところなく正確に規定された概念言語の要求に対して、言語媒体そのものの特徴から反対の行動をとるある種の制限が設定されている。そして、ザデーはいう。正確さと複雑さは、両立が困難である。システムの複雑さが増すと、その振舞いについて正確ではっきりとした主張はできなくなってくる。例えば、現実の経済と関連したシステムの振舞いを推測することは、大変に難しい。
     つまり、両者とも、物事を深く正確に突き詰めていってもそこには限界があり、逆に深追いしないことにより良い結果をもたらすことができると主張している。この小論では、これまでの研究から筆者がたどり着いたファジイ理論とトーマス・マンのイロニーをさらに掘り下げて、両者の整合性を見ていくことにする。

    花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-トーマス・マン『魔の山』」より

  • 志賀直哉の「城の崎にて」で相関関係を考える6

    5 まとめ

     志賀直哉の「城の崎にて」のデータベースのうち、言語の認知のカラム、動から静への思考が1ある、2ないと、情報の認知のカラム、人工知能で1認知、2心的操作は、正の強い相関関係になることがわかった。

    参考文献

    花村嘉英 計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?新風舎 2005
    花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
    花村嘉英 日语教育计划书-面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
    花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
    前野昌弘 回帰分析超入門 技術評論社 2012
    志賀直哉 城の崎にて 新潮文庫 2004

  • 志賀直哉の「城の崎にて」で相関関係を考える5

    表2 計算表

    A 1 4 5
    偏差 -1.5 1.5 0
    偏差2 2.25 2.25 4.5
    B 1 4 5
    偏差 -1.5 1.5 0
    偏差2 2.25 2.25 4.5
    AB偏差の積 2.25 2.25 4.5

    ◆相関係数は、次の公式で求めることができる。

    相関係数=[(A-Aの平均値)x(B-Bの平均値)]の和/√(A-Aの平均値)2の和x(B-Bの平均値)2の和

    上記計算表を代入すると、

    相関係数 = 4.5/√4.5 x 4.5 = 4.5/4.5 = 1

    従って、正の強い相関があるといえる。

    数字の意味を言葉で確認しておく。

    -0. 7≦r≦-1.0 強い負の相関がある
    -0.4≦r≦-0.7 やや負の相関がある
    0≦r≦-0.4 ほとんど負の相関がない
    0≦r≦0.2 ほとんど正の相関がない
    0.2≦r≦0.4 やや正の相関がある
    0.4≦r≦0.7 かなり正の相関がある
    0.7≦r≦1 強い正の相関がある

    花村嘉英(2020)「志賀直哉の『城の崎にて』で相関関係を考える」より

  • 志賀直哉の「城の崎にて」で相関関係を考える4

    A 言語の認知(動から静への思考):1ある、2ない → 1、 4
    B 人工知能:1認識、2心的操作 → 1、 4
     
    ◆A、Bそれぞれの平均値を出す。
    Aの平均:( 1+ 4)÷ 2 = 2.5
    Bの平均:( 1+ 4)÷ 2 = 2.5
    ◆A、Bそれぞれの偏差を計算する。偏差=各データ-平均値 
    Aの偏差:(1 – 2.5)、(4 – 2.5)= -1.5、1.5
    Bの偏差:(1 – 2.5)、(4 – 2.5)= -1.5、1.5
    ◆A、Bの偏差をそれぞれ2乗する。
    Aの偏差2乗 = 2.25、2.25
    Bの偏差2乗 = 2.25、2.25
    ◆AとBの偏差同士の積を計算する
    (Aの偏差)x(Bの偏差)= 2.25、2.25
    ◆AとBを2乗したものを合計する。
    Aの偏差を2乗したものの合計 = 2.25 + 2.25 = 4.5
    Bの偏差を2乗したものの合計 = 2.25 + 2.25 = 4.5
    ◆Aの偏差xBの偏差の合計を計算する。2.25 + 2.25 = 4.5

    花村嘉英(2020)「志賀直哉の『城の崎にて』で相関関係を考える」より

  • 志賀直哉の「城の崎にて」で相関関係を考える3

    3 小説の場面に適用する

    表1 魚串の鼠

    A 「一の湯」の前から小川は往来の真ん中をゆるやかに流れ、円山川へ入る。ある所まで来ると橋だの岸だのに人が立って何か川の中の物を見ながら騒いでいた。それは大きな鼠を川へ投げ込んだのを見ているのだ。鼠は一生懸命に泳いで逃げようとする。意味3 2、人工知能 2

    B 鼠には首の所に七寸ばかりの魚串が貫してあった。頭の上に三寸程、咽喉の下に三寸程それが出ている。鼠は石垣へ這い上がろうとする。子供がニ三人、四十位の車夫が一人、それへ石を投げる。却々当たらない。カチッカチッと石垣に当たって跳ね返った。意味3 2、人工知能 2

    C 見物人は大声で笑った。鼠は石垣の間にようやく前足をかけた。然し這入ろうとすると魚串が直ぐにつかえた。そして又水へ落ちる。鼠はどうかして助かろうとしている。顔の表情は人間にわからなかったが動作の表情に、それが一生懸命である事がよくわかった。意味3 2、人工知能 2

    D 鼠は何処かへ逃げこむことが出来れば助かると思っているように、長い串を刺されたまま又川の真ん中の方へ泳ぎ出た。子供や車夫は益々面白がって石を投げた。傍の洗場の前で餌を漁っていた二三羽の家鴨が石が飛んでくるのでびっくりし、首を伸ばしてきょろきょろとした。意味3 2、人工知能 2

    E スポッ、スポッと石が水へ投げ込まれた。家鴨は頓狂な顔をして首をのばしたまま、鳴きながら、忙しく足を動かして上流の方へ泳いでいった。自分は鼠の最期を見る気がしなかった。意味3 1、人工知能 1

    花村嘉英(2020)「志賀直哉の『城の崎にて』で相関関係を考える」より

  • 志賀直哉の「城の崎にて」で相関関係を考える2

    2 相関の作り方

     シナジーのメタファーのために作成しているデータベースは、データの種類で見ると、俗に言う測れないカテゴリーデータからなる。数量データといわれる身長、体重、気温、湿度などとは異なり、値が連続ではなく飛び飛びで離散的となる。前野(2012)によると、カテゴリーデータは、対象の性質を表したり、現象や区別を表したりする。性別、好き、嫌い、うまい、まずい、おもしろいなどあるものの性質や現象が示される。
     相関とは原因から結果が生じ、それが互いに関係しあっていることをいう。また、相関関係があるとは、ある測定値の変化に対して他の測定値も変化する場合に使われる。相関の強さは、ピアソンの相関係数で表す。合わせて共分散という統計用語が重要になる。 

    (1) 共分散の公式
    共分散=[(xの各データ-xの平均値)x(yの各データ-yの平均値)]の和/データ数
       =[(xの偏差)x(yの偏差)]の和/データ数
       = xとyの偏差積の和/データ数

    正の相関があると0より大きく、負の相関があると0より小さくなる。

    (2) 相関係数(ピアソン)
    相関係数=XYの偏差平方和/√(Xの偏差平方和)x(Yの偏差平方和)

    「城の崎にて」の問題解決の場面を使用して、簡単な例を見てみよう。

    花村嘉英(2020)「志賀直哉の「城の崎にて」で相関関係を考える」より